フルートの歴史 笛、トラベルソ、ベーム式現代フルート

フルートを知る

フルートの歴史を振り返ってみます。

このサイトでも部分的には取り上げてきましたが、今回は大部の記事になります。

古い時代のフルート

フルートと言って思い浮かべるのは横に構える笛のことが多いかと思います。しかし、本来、英語のfluteは笛という意味です。日本の篠笛や笙、小学校で吹いたリコーダーやオカリナなどもfluteと呼ばれます。

日本語では「フルート」=「西洋の横に構える銀色の笛」ですが、英単語のfluteは「flute」=「笛全般」です。詳しい話は以下をどうぞ。

>>> 【flute ≠ フルート】英単語「flute」を日本語に訳すと「フルート」ではありません

楽器としては旧石器時代の遺跡から出てくるぐらい古く、また世界中で神話の時代から神やそれに連なる方々がフルートを吹いています。ギリシャ神話の「牧神パン」が特に有名で現代フルート曲でも取り上げられます。

>>> 【フルートを吹く精霊】厳選4曲

フルートトラベルソ

バロック時代の横笛がフルート(フラウト)トラベルソです。バロック時代はフルートと言えばリコーダーなので、横笛の方はトラベルソ(横向きの)をつけます。

バロック時代にはフルート曲が多いので忘れがちですが、この時代に現代フルートは存在しませんでした。

現代のフルートと比べて音量が小さく、音程が取りづらいです。ただし、その素朴な音色を好む人たちがいますので現在でも手に入ります。大きい楽器店に置いてあることがあります。試奏可能であれば、試奏させてもらいましょう。

トラベルソの名手として有田正広さんがよく知られています。

ベーム式フルートの登場

フラウトトラベルソは少しずつ変化、進化していきますが、ベームが革命的なことをやります。音程が悪く音量が小さいそれまでのフルートを改良し、指で穴を押さえるのではなく、キーを押さえると穴が塞がるようなシステムを作り上げます。

これがベーム式フルートと呼ばれます。いわゆる現代フルートが登場しました。現在のメーカーはそれぞれ微差がありますがベームが作った形のフルートを作っています。

>>> テオバルト・ベーム 現代フルートを一気に作った天才

フランスのフルート

ベーム式フルートが登場してその恩恵を受け最大限に活用したのがフランスにいた音楽家たちでした。

タファネル、ゴーベール、モイーズによってフルート奏法が確立され、パリ音楽院の卒業試験によって現代フルートの名曲が数多く生まれました。

>>> パリ音楽院フルートコンクールの曲からフレンチコンポーザ

日本のフルート ムラマツフルートの登場から多くのメーカ創立

日本におけるフルート生産は、ヤマハの前身である日本管楽器製造(ニッカン)とムラマツフルートから始まります。

ヤマハとムラマツにいた技術者が独立して新しいメーカを作ったりして、日本には多くのフルートメーカが誕生しました。世界中のプロ奏者が用いていますので、品質はヨーロッパやアメリカと同等と言ってよいです。

「国産フルート物語」という本がありましたが2023/6現在は絶版状態です。「新・国産フルート物語」の一部がオンラインで読めますのでこちらをどうぞ。(アルソの会員になれば全部読めます)

フルートメーカの系統図はこちらの論文に載っています(著作権フリーではなさそうなのでリンクをはります。また、パールフルートはムラマツの下山さんから始まったらしいのでムラマツとパールを線で繋ぎたい)。かなり複雑に絡み合っていてどのメーカがどう枝分かれしたかを覚えておくのが困難です(別に覚える必要はないでしょうが)。

以下のフルートメーカが知られています。

  • ヤマハ
  • パール
  • ムラマツ
  • 三響
  • ミヤザワ
  • アルタス

各メーカーの音色の違いを以下にまとめています。ご参考にどうぞ。

>>> 【各フルートメーカーの音色の違い】集めてみました

海外のフルート アメリカ、ドイツ、フランス

日本にいると海外のフルートを手に入れるのは困難です。街の楽器屋さんだと、ごくたまに見かける程度です。その中でも品ぞろえ豊富なドルチェ楽器(東京、大阪、名古屋)にまず行ってみましょう。パウエル、ヘインズ、ブランネンのアメリカ製フルートが吹けます。ドルチェ楽器には日本製フルートも置いてありますので、吹き比べてみましょう。

さて、フルートはヨーロッパでベームによって生まれたんですから、ヨーロッパのフルートが本場です。しかし、日本での流通量が少なく、私もほとんどお目にかかったことがありません。いくつか紹介します。

ハンミッヒ

ベームのフルートの直系の一つがハンミッヒです。いくつにも分かれていて分かりにくいですが、どのフルートも素晴らしいです。

A. R. Hammig、P. Hammig、J.G. Hammigの3ブランドが現在でも手に入るものと思われます。

ルイロット

ルイロットのフルートは現在でも伝説的に語られることがあります。いくつかのフルートメーカがルイロットを目指していることを標榜しています。中古ではたまにありますので、欲しい方は楽器店に定期的に行ってみましょう。

フランスメーカではパルメノンが有名で日本でもごくまれに出回ります。

まとめ

フルートの歴史について解説しました。

>>> 【フルートを知ろう】フルートに関するFAQ

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