奥泉光著「ビビビビバップ」 書評 近未来SFなミステリー

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奥泉光著「ビビビビバップ」

奥泉光の「ビビビビバップ」を紹介します。

奥泉光は1994年「石の来歴」という作品で芥川賞受賞しました。受賞作は奥泉の代表作ではなく、次々に傑作を発表している作家です。

奥泉ファンは奥泉作品の全ての作品が傑作といいますが、

今回はジャズピアニストが活躍するSFミステリー「ビビビビバップ」の傑作ぶりを紹介します。

※本ブログはフルート関係、音楽関係の本を紹介していますが、今回はジャズピアニストが主人公の本ということで、ギリギリセーフと判断しました。

奥泉光

フル屋が奥泉光を知ったのは1995年頃、大学の知り合いが「いい作品だから読め」と言ってくれてからです。そのときは「石の来歴」を読んだと思います。それ以来、奥泉光の作品を全て読んでいます。

奥泉光はアマチュアのフルート吹きでもあってジャズで活動しているようです。

奥泉光のサイトのプロフィールでは作家ではなく音楽家としての奥泉の紹介が書いてあります。フル屋が遭遇したことはありませんが、偶然出会ったら何とお声がけすればよいか、いつも悩んでいます ※いや、会うことは多分ないので妄想です。

残念ながら、奥泉光のサイト「バナール主義」は2010年頃更新が止まっています。せめて作品一覧を更新してほしいものです。

奥泉の作品は、ミステリー仕立て、SD風味の純文学みたいなもの、のような感じです。訳が分かりませんね。

まずはミステリーが全面に出ています。殺人事件のような「謎」が提示され、「謎」に対する答えを物語最後の方に提示するという建付けはミステリーそのものです。

さらに、多くの作品にSF要素が絡まります。「フィボナッチ数列を基本にする音階を演奏すると時空を超える」というモチーフが複数の作品で出てきます。※何を言っているか分かりませんね。作品を読んでください。

下記の「吾輩は猫である殺人事件」は、奥泉が夏目漱石の文体を真似つつ、「ミステリー仕立て、SD風味の純文学みたいなもの」を全面に出した傑作です。

まずは文章がほぼ夏目漱石です。漱石の新作を読んでいるかのような錯覚に陥ります。

そして、ミステリーでもあり、奥泉SFとも言うべき「フィボナッチ数列の音階」がさく裂しています。

ビビビビバップ

「ビビビバップ」は、ジャズピアニストが活躍する小説ですが、下記の「鳥類学者のファンタジア」の続編のような形です。

「鳥類学者のファンタジア」の主人公のジャズピアニスト「フォギー」の子孫(作品中に母の祖母と言っています)である2代目「フォギー」が「ビビビバップ」の主人公です。

難解な奥泉作品の中では比較的ポップで漫画化されたりしています。

さて、「ビビビビバップ」を紹介します。

ミステリーなので一応、本編のトリックには触れません。※奥泉作品をミステリーと分類していいかどうかは不明

主人公「フォギー」はジャズピアニストです。舞台は21世紀末期、2029年にあった電子機器に対するパンデミックにより文明が停滞はしたものの我々がクラス21世紀よりは進んでいる近未来です。

「AI」「仮想現実」「アンドロイド」「人格のデジタル」などが洪水のように登場します。緻密に作られた世界観が作中徐々に明らかになっていくにつれ、圧倒されるかもしれません。

さらに、フォギーとセッションをやるために、往年のジャズスターがアンドロイドとなって登場します。フォギーのいちばんのお気に入りはエリック・ドルフィーらしい(作中に出てくる猫の名前もドルフィー)ので、ドルフィーはもちろん、チャーリーパーカーやマイルスデイビスなどモダンジャズのスターがたくさん出てきます。

ミステリー的な謎はとても面白く物語が進行する上で非常に重要ですが、上記のような舞台設定を味わうだけでも読む価値があると思います。

ミステリー的な謎は、(作品を読んでいく中では忘れがちですが)、技術の粋を結集して作成した将棋の大山名人ロボットと人間が対局している途中で、大山ロボットが殺される(壊される)というのから始まります。

その謎はどうでもいいという感じで、文明を再び滅ぼすコンピュータウィルス、人間を滅ぼす生体的なウィルスなどが登場します。デジタル空間と現実空間を縦横に行き来し、現実空間でアンドロイドを操作したりして、仮想と現実が混濁していく奔流に身を任せてみませんか?

まとめ

奥泉光の「ビビビビバップ」を紹介しました。

ぜひ読んでみて下さい。

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