「フルートは金属でできているけど木管って言うんだよ」というセリフは過去のものとなるのでしょうか。木でできたフルートを吹く人も増えてきました。
木のフルートを紹介します。
木のフルート
ベームの頃は、フルートに最も適した素材は「銀」とされていました。
現代では、「銀」に加えて「洋白(洋銀)」「金」「プラチナ」などがフルートの素材として使われています。
さらに、素材としての「木」があります。
他の素材と大きく異なるのは「管の太さ」です。最初吹いてみたときは、かなり吹奏感が異なるという印象でした。人の感じ方はそれぞれですが、私は「音が柔らかい」と感じました。
素材は?
フルートの素材となる木は、中南米、アフリカで採れる「グラナディラ」と呼ばれる木です。
グラナディラはピッコロやクラリネットによく使われる素材として知られています。他の木材に比べると、硬くて重いので、加工がしやすいそうです。
2023年現在、国連のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されています。楽器で使用する分はそう多くはないですが、ヤマハでは森林保全の循環モデルを構築して持続可能になるよう活動しています。
お値段
2023/9の段階で、木のフルートのお値段は、各メーカとも、総銀ハンドメイドとほぼ同じです。
銀の値段と木の値段は同じであるはずがありませんし、近年の素材の値上がり具合も異なると思いますが、各メーカとも木と総銀の値段はほぼ同じです。
銀の値段がもっと上がると木のフルートと銀のフルートの値段は離れていくかもしれません。そうすると、木のフルートを選ぶ人が増えるかもしれませんね。
日本で容易に手に入る木のフルート
全てのメーカーが木のフルートを製造している分けではありません。
日本では以下の3メーカーの木のフルートが手に入ります。
- ヤマハ
- サンキョー
- パウエル
ヤマハの木のフルート
「木材加工技術の粋を集めた薄い管厚、銀製フルートと同口径のトーンホールは、抜群の音抜けと正確な音程を実現。さらにジョイント部はシンプルで堅牢な構造とすることで、響きを増すと共に重量を軽減し、銀製と変わらない総重量とキイタッチを確保しています。」
だそうです。他のメーカと違って銀と同じ太さということで、違和感なく吹けるようです。
東京フィルの吉岡アカリさん、名古屋フィルの満丸彬人さんが愛用していらっしゃいます。
サンキョーの木のフルート
「管厚4.2mmと比較的厚い管厚で、木管特有の柔らかな音質と深みに加え、豊かな「木」の響きを届けます。」
だそうです。
サンキョーのアーティスト一覧を見ると、菅野力さん、斎藤和志さん、多久潤一朗さんなどが愛用していらっしゃいます。
パウエルの木のフルート
「木管ならではの柔らかさと力強さを併せもち、操作性が抜群。」
だそうです。1997年の70周年から作り始めたそうで、かなり古いと言えます。
N響の神田寛明さんがパウエルの木製を吹いていらっしゃいます。私の記憶の中では、最も早く木を使いだしたプロのフルーティストです。
まとめ
木のフルートを紹介しました。
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