宮城道雄「春の海」
「春の海」について、解説します。
「春の海」は「名曲31選」の1曲です。「名曲31選」はフルートの小品集としてとても有名な一冊ですので持っておいた方がよいと思います。「春の海」は31選の中で唯一の日本人作曲家からの曲です。
宮城道雄
宮城道雄は1894年(明治27年)生まれの近代日本の音楽家です。
7才で失明し音楽の道に入りました。
日本では、平安時代から江戸時代にかけ、盲目の人は音楽または鍼灸の道に入ることがほとんどでした。平家物語を琵琶で弾き語りしたと伝えられる「琵琶法師」は盲目でした。
室町時代以降、盲目の官職が存在し検校(けんぎょう)と呼ばれました。現在でも、盲目の偉人を検校と尊称することがあります。
この文脈で、宮城道雄を宮城検校と呼ぶこともあります。
8才で生田流箏曲を菊中検校、後に中島検校を師事し11才で免許皆伝を受けます。14才で「水の変態」を作曲するなど、天才だったのでしょう。
1930年からは東京音楽学校(後の東京芸術大学)の講師、教授を務めます。
生涯にわたって、筝、尺八などの日本の楽器を西洋の音楽と組み合わせて、日本の音楽を創造し、400曲以上の曲が残っています。
春の海
「春の海」は1930年(昭和5年)の歌会始のために、1929年(昭和4年)に作曲されました。瀬戸内海をイメージしているそうです。
「箏と尺八」がオリジナルですので、まずはこれを聴きましょう。お正月のテレビ番組でよく流れますね。
1932年(昭和7年)、来日したフランスのバイオリニストのルネ・シュメーが「春の海」を気に入って、デュエットが実現したそうです。
「箏とバイオリン」の演奏は、作曲者とバイオリンの名手によって編曲されたので、尺八と同じくらい原曲と言って差し支えありません。むしろ、西洋音楽と調和しているので、フルート吹きにとってはこちらの方が参考になるかもしれません。
バイオリンとピアノもいいですね。
ピアノとフルートでも、よく演奏されます。純粋な雅楽ではなく、宮城が独自に西洋音楽との融合させた音楽です。いろいろな演奏を聴いて想像力を高めましょう。
楽譜は「名曲31選」に収録されています。
まとめ
「春の海」を紹介しました。
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